自販機
近所に自販機があります。
それはもう所狭しと満ち満ちと立ち並んでいて、
全ての自販機はここから沸いてるんだろうなというくらいありました。自販機の泉。(トリビアの泉ってほとんど記憶ないんですが、多分初回はリアタイした記憶があります。どこかのタイミングで出演したゴン太くんが怖くて見るのやめました。)
その中のひとつに私は怒っていました。
健康な店は暖簾を下ろし、不健康を楽しむ店が煌々と口を開き、へべれけで闊歩する人々を手招きしている頃。
タガが外れたサラリーマンとOLとその他諸々の一団に怯えながら私は飲み屋街をひとり歩いていました。
特段どこかに飲みに行こうとしているわけではなく、フラフラと腹を満たせる店を探しながら
楽しい人々のハレの気を吸い取るため。なんかそういう妖怪みたいになって歩いていました。
すると、自販機。
ふと目に入ったそれは至って普通〜〜〜の自販機で、路地裏自販機特有のナニコレな商品もなければど定番からもちょっと外れた、つかみどころのないやつ。
コーヒー、緑茶、何かジュース、ドクペ。
安定に好きなものばっかり入ってて、普通の自販機だと思ってました。
でもひとつだけ違和感がありました。
種類が流石に少なすぎる。
いち風景として処理しようとしていましたが、
なんか…ある……という自分の直感を信じてじっと見つめてみることにしました。
そしたら中段にクソでかい千空がいました。
千空。Dr.Stoneの主人公の千空。
他の飲料を自販すべきスペースにでかでかと千空が印刷されてるジャンプの広告があって、
別にいいんだけどなんか違くない?
それ貼るスペースあるならもっとなんか自販できたんじゃない?
と思わざるを得ないくらい。
だって一列だけならまだしも二列くらい陣取ってたから。
それでいいの?千空はそれで。
いいならいいんだけど。ねぇ。
冷たい風がぴゅうと吹き、
隣の自販機でピーチネクターを買って飲みました。
暑い夏の日でした。